2017年04月05日

絵巻物の面白さ

azu3.jpg”絵巻物マニア列伝”という展示を、サントリー美術館で見てきました。
六本木開館10周年記念の企画でしたが、肩肘張らない面白みたっぷり
の展示内容で、思いがけず長居をしました。

国宝の「石山寺縁起絵巻」、「玄奘三蔵絵」を始め、名だたる絵物語が
時代を超えて蒐められていました。平安時代の「病草紙」の不眠の女、
頭の上がらない乞食法師、額のシワまでリアルに描写されていました。

だいぶ前でうる覚えですが、中沢新一が新書版で「僕の叔父さん・網野
善彦」を書いたのを思い出しました。網野善彦は中世史の歴史学者です
が、甥と叔父さんのやり取りの中で、絵巻物に話が及んだときのことが
印象に残っています。

azu4.jpgそれは、確か絵巻物などには端のほうでうずくまっているような異形の
人が描かれているから、気をつけて見てごらん。といったようなことだ
ったと思います。物語の主人公は貴族や立派な僧侶であっても、世の中
には庶民もいれば、賎民もいれば渡り歩く法師や様々な人たちもいるよ。
というようなことだったような気がします。網野善彦らしいまなざしの
確かさにハッとしたのを覚えています。

あとはこの絵巻物の世界の”おかしみ”に触れられたことが収穫でした。
「放屁合戦絵巻」の抱腹絶倒。「石山寺縁起絵巻」が一番の目的でした
がどの絵巻物も、優れた場面展開のあしらい方に感心しました。雲や、
水、木々の茂りなどなどで、見事に時間と空間を移動させられる手法の
楽しさにも目を奪われました。

朝一番の割には、混んでいましたが、展示替えもあるようなので再度足
を運んでも良いかな、と目下思案中です。
posted by Tanaka at 14:38| お知らせ